本展では「阿吽(あ・うん)」をテーマに、2体が対になる作品群をデジタルツールを用いたミクストメディアで表現しています。 仏教のルーツとなった、インドのサンスクリット語の始まりの文字は「ア」、終わりが「ン」。 そして日本語の五十音の始まりも「あ」、終わりは「ん」。 奇妙な共通点を持ちつつ、異なる文化や言語を持っているもの同士は繋がっている。 その曖昧な境や文化の響き合いを汲みなおし現代の装飾絵画として描き出します。 京森康平 - 美術家京森康平は、工芸や建築等に見られる装飾を視覚言語として再解釈し、コンセプチュアル・アート以降の、ポストコロニアルの時代における美術のあり方を模索している。「装飾が生まれるまでに加わる、人間の手数による圧倒的な視覚的密度」に共感する京森は、時に陶芸や染織などの技法そのものを絵画技法に取り入れ、幾層もの技術と手数を加え、一つの作品を導き出す。そうした手工芸的なアプローチによって絵画に向き合う京森の姿勢には、デジタル化されていく今日の世界を生きる私たちに、圧倒的な物量や物質性、自らの手を使って何かを生み出すという、根本的な人間の活動について問い直しをかける機会を提示する。